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アメリカの肥満問題

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1.アメリカ人はなぜ太ったのか

 毎日のようにダイエットの新聞の折り込み広告が家庭に配られてくる。ダイエット効果を謳った食品や飲料もスーパーマーケットにはあふれている。多くの日本人(特に女性)が,肥満のことをとても気にしていることを反映している。どうして,これほど肥満が問題になってきたのだろうか。豊かになれば,必然的に生じてくる問題なのだろうか。
 ハーバード大学のカトラー教授,グレーザー教授とシャピロー氏は,過去20年間でアメリカ人の肥満が急激に増えた理由を経済学的に分析している。注1

他の先進国でも肥満が増えているが,アメリカほど肥満が急増している国は他にないし,肥満比率が高い国もない。実際,肥満の指標であるBMI(体重kg/(身長m)2)が30以上の人口比率を国際比較したOECDの統計(図1)では,アメリカ人の肥満比率は約31%で他の国よりも圧倒的に高い。日本人の肥満比率は約3%で最も肥満が少ない国となっている。

 アメリカで肥満が増えた直接的な原因は単純である。1980年以降アメリカ人のカロリー消費量があまり変わっていないのに,カロリー摂取量が著しく増加したからである。問題は,なぜアメリカ人のカロリー摂取量が過去20年間で増加したかということである。
 そこで,経済学が登場する。カトラー教授らは,食品調理の準備における「分業」の進展がアメリカ人の肥満をもたらしたのだという。真空パック,保存設備,冷凍,人口調味料,電子レンジといった技術革新のおかげで,個人から大量調理への変換が,食事の時間費用を下落させ,消費される食物の量と多様性を増したのである。この食品調理における技術革新が,食事の準備のための時間費用を低下させたことこそが,アメリカ人の肥満が増えた理由だと主張する。
 第1に,アメリカ人のカロリー摂取量の増加は,食べ物摂取量の増加に起因するのであって,よりカロリーの多い食べ物を摂取するようになったことに起因するのではない。第2に,大量生産加工食品の消費は,過去20年間に最も増加しており,アメリカ人の肥満が増加した時期と一致している。第3に,1970
年において生活時間の中で調理時間が最も長かった既婚女性が最近最も調理時間が減っており,アメリカにおいて最も肥満が増えたのも既婚女性であることと対応する。第4に,伝統的農業と配送制度を支持するための規制が強い国ほど,肥満の比率が低いことが統計的に示される。
 これらの事実は,食事の準備のための時間費用が低下したことが肥満増加の原因であるという仮説と整合的である。それでは,食事に関するこのような技術革新は,アメリカ人にとって肥満という代償を支払っても好ましいものだったのだろうか。

社会を見る眼



 環境 と 習慣 なんだろうな。

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